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情熱電波!テレビ新広島 達川光男のものがちがいます ttp://wwwz.tss-tv.co.jp/tatsukawa_blog/

2011.9.28(水)最強の右バッター 落合博満 勝負師の原点 


やられたねぇ。 流れはカープだったんじゃけど・・・・。 
 
やっぱり、中日は勝負強い・・・。 と言うか、粘り強い。
 
カープも1点取れる所で、三振を繰り返したり、まずい攻撃もあったんだけど・・・、
 
それにしても、中日は勝負に厳しいよね。
 
まるで、落合監督の気持ちが、乗り移ったかのような展開じゃった。
 
絶対諦めない。 この勝負強さこそが、野球人・落合博満の、最も大きな長所なんじゃもん。
 
 
さて、今日は、「 オレ流 」の原点とも言える話をしようか。
 
 
その前に、ワシの恥ずかしい話をしようね。

あれは、ナゴヤ球場の中日戦じゃった。
 
9回裏、ツーアウト、ランナー2累で、バッターボックスに落合選手を迎えたわけよ。
 
ピッチャーは、背番号11番、紀藤真琴。
 
ワシは、ツーボール、ノーストライクから、外のストレートのサインを出した。
 
紀藤はうなずいて、投球モーションに入る。
 
 
紀藤が投げる前に、ひとつ言っておくと・・・、
 
この時は、セカンドにランナーがいたんで、見破られんように少し複雑なサインにしてたんよ。
 
 
さぁ、紀藤が振りかぶって・・・、 投げた。
 
瞬間・・・、 ワシは目をつぶった。
 
 
そりゃそうじゃろう。  何でか知らんが、ど真ん中に、カーブが来たんじゃもん。
 
「 紀藤。 お前、何考えとんじゃぁ。 もういけん。 絶対、無理。 お願い見逃して・・・ 」
 
カーン。 乾いた、 いい音がした。
 
そりゃそうだ・・・。  やっぱり、見逃さないよねぇ。 落合さんだもん。
 
ワシが目を開けると、 センター前にサヨナラのヒットが転がっていた。
 
 
サヨナラ負け。
 
ベンチに引き上げたワシに、当時の監督さんが言ったもんよ。
 
「 カーブ打ちが、一番上手いバッターだぞ 」  ( 同感です。 ワシも知っています )
 
「 あそこで、オチにカーブは無いだろう 」   ( 右に同じ。 ワシもそう思います )
 
「 見逃さんだろう 」             ( はい。 見逃してくれませんでした )

「 だって、来ちゃったんだもん 」 とも言えず・・・、 ワシは黙っていた。
 
まぁ、終わってしまった事だし・・・、 しゃーないもん。
 
説明するのも、面倒くさい。 言い訳がましいのも、嫌いじゃった。
 
ワシは、「 すいませんでした 」と謝って、ペコリと頭を下げると、ベンチを出た。
 
 
言うまでもなく、次の日のスタメンは、ワシじゃなかった。
 
そりゃそうだ。 あそこでカーブを投げさせるキャッチャーなら、ワシでも替えるわね。
 
 
そんな事があって以来、ワシは落合さんを、何とか抑えようと、必死に研究するようになった。
 
しかし、これが、どうにもならんのよ。
 
「 ストレートを狙っていてもカーブは打てる。 だって、自然に体が反応するもん 」
 
もう、いかん。 こんな事、言われちゃぁ、投げさす所は無い・・・。 落合、凄過ぎ。
 
それでも、また、中日戦は巡ってくる。  ワシは、対 落合戦略を練りに練った。
 
何とか、配球を工夫して、討ち取りたかったんよ。  どうしても、勝ちたかった。
 
 
 
こんな風に話してると、何か、ワシと落合さんが、口もきかないくらいの感じに見えるけど・・・、
 
実は、そうじゃない・・・。 
 
年が近い事もあったんじゃろうね。
 
意外な事に、ワシと落合さんは、妙にウマが合う間柄だったんよ。
 
正確に言うと、落合さん、ワシ、それから、同級生で、今、カープのコーチをしてる大野。
 
この3人は、何故かウマが合った。 
 
オールスターなんかで会ったら、よく3人で話し込んだもんよ。
 
 
 
お互い、現役を退いてからの話じゃけど・・・、 ある日、落合さんが、言ったんよ。
 
「 現役時代、オメェの配球を読むのは楽しかったなぁ。

1打席目から4打席目まで、初球の入り方を、オレに対しては全部変えてたよなぁ。
 
まぁ、オレは何で来るか、全部、分かってたけどな 」
 
あの口調で、しれーっと言う。
 
 
何が「 全部分かってた 」よね・・・。
 
あれは、ワシの渾身の配球なんよ。  簡単に、分かってたまるかい。
 
 
さすがに、ワシも、ちょっとカチンときた。 じゃから、こう言い返した。
 
「 落合さん。 初球から、何が来るか分かっていたら、1球目から打てばよかったじゃないですか? 」
 
どうじゃ、 あの時、 落合さん、打たなかったじゃないの・・・。
 
ワシは、先輩から一本取ったつもりで、 どや顔だったが・・・、 やっぱり、三冠王はモノが違うわ。
 
言われた、落合博満。 顔色ひとつ変えずに、しれーっと、こう言ったもんよ。
 
 
「 初球から手を出さないようにしたのは、オメェへの挨拶だ。 
 
オメェがせっかく頑張って、考えてるのに、いきなり打ったら悪いだろう 」
 
 
ホンマ。 どこまでが本当で、どこからが嘘なのか・・・?
 
いや、いや、 この人と話してると、やっぱり全部、本当のように思えてくる。
 
何とも、不思議な人なんよ。
 
続けて、 落合さんは、こうも言った。
 
 
「 オメェと大野のバッテリーと対戦するのは、面白かったなぁ。
 
 大野が色んな球種を投げてきたもんなぁ 」
 
大野は球種の多いピッチャーだった。 マスコミから、「 七色の変化球 」と呼ばれた事もある。
 
そう言えば、大野に、色んなサインを出したっけ・・・・。
 
この人を討ち取りたい・・・・。  ただ、その一心だった。
 
 
さて、最後に、落合さんの勝負強さに触れておきたい。
 
現役時代、落合さんほど、チャンスに強いバッターはいなかった。
 
監督時代も、落合さんは「 勝てる監督 」「負けない監督 」と言われ続けてきた。
 
 
 
ワシが、 その原点とも言える場面に出会った・・・。  その時の話をしよう。
 
これは、今のカープ打線、そして、ここ一番で力が出せないと思っている人にも参考になると思う。
 
 
その日は、中日が大勝していたんよ。  落合さんも、ここまで4打数4安打。
 
中日の勝ちは間違いなしよ。 
 
そこで、負けが、ほぼ確定のカープは、その年、高校から入団したルーキーを登板させた。
 
プロ初登板だった。
 
 
バッターボックスに、落合さんが入って来た時、 ワシは聞こえよがしに呟いた。
 
「 こいつは、プロ初登板なんです。 もうこの辺で勘弁してくださいよ 」
 
 
落合さんは、無反応だった。 こっちを見もしない。 
 
でも、ワシの呟きは聞こえたはず・・・。
 
「 達川。 当たり前の事を皆まで言うな。 分かってるよ 」
 
反応が無いのは、そんな意味か?   ワシは、勝手にそう思い込んでいた。
 
 
初球、アウトコースのストレート。
 
ピッチャーの手からボールが離れた瞬間。
 
バットが風を切る音がした。
 
球場が歓声に包まれて、 その日、5本目のヒットが右中間に転がっていた。
 
「 何じゃ。 そんなにヒットが欲しいんか! 」
 
カチンときた、 ワシは、立ち上がって、バッターランナーを睨み付けた。
 
落合さんは、いつものように、セカンドベースの上にいた・・・。  
 
いつもの顔で立っていた。
 
 
ワシは、その顔を見た時、何か、分かった気がした。
 
 
何故、この人が三冠王になれたのか?  
 
そして、何故、こんなにもチャンスに・・・、 勝負に強いのか?
 
 
分かって、ワシは・・・、 恥ずかしくなって、下を向いた・・・。 
 
 
つまり、「 落合さんは、いつも落合さんなんだ 」という事なのよ。 
 
どんな時でも、変わらない・・・。 
 
チャンスでも・・・、ピンチでも・・・、
 
ランナーがいようが、いまいが・・・、  相手がひよっこだろうが、エースだろうが・・・、
 
落合博満には、関係ないのよ。 
 
変わらない・・・。 いや、「 変えない 」・・・、 という方が正しいと思う。
 
この人にとっては、全打席が同じなんよ。 だから、チャンスは特別なものではない。
 
だから・・・、 いつでも、打てる・・・。  勝負に勝てる。
 
 
何時も、同じように打席に立つ。 その繰り返しが、この人を三冠王にした。
 
 
落合さんは知っていた。 
 
相手が、ルーキーだから・・・、 初登板だから・・・、 大勝しているから・・・、
 
そこに手心を加えた瞬間から、終わりが始まる。  全打席が同じじゃ無くなる。
 
だから、落合さんは、全ての打席を、大切にした。  全ての勝負を大事にしたのよ。
 
 
セカンドベースに立った落合さんの「 いつもの顔 」が・・・、
 
ワシの心に、知らず、知らず、巣くっていた「 驕り 」という病巣を鋭く刺した。
 
だから、セカンドベースの落合さんの顔を、真っ直ぐ見られなかったのよ。
 
 
「 全ての場面で、同じように打席に立つという事 」
 
これは、世の中の、どんな場面にも通じる事だと思う。
 
これが、ワシが落合さんから学んだ人生訓なんよ。
 
 
 
落合さんは、よく言っていた。
 
「 いいバッターだから、打てるわけじゃない。 打ったから、いいバッターなんだ 」
 
「 いい監督だから、勝てるわけじゃない。 勝ったから、いい監督なんだ 」
 
 
凄まじいまでの、結果主義。
 
 
結果を出し続ける事を、自分に課した生き様には、見ているほうが苦しくなることすらある。

自分自身への厳しさに、身がすくむ思いがしたのは、一度や二度じゃない。
 
 
プロ野球で、この人ほど、勝つ事にこだわった人はいないかも知れない。
 
そして、この人ほど、勝つ事の意味を追いかけた人もいないかも知れない。
 
 
そんなプロ野球人が、最後に何を見せてくれるのか・・・?
 
ペナントレースは、最後まで目が離せなくなったよね。
 
 
さて、今日は、この辺りにしとこうかね。
 
それじゃぁ。 また、ここでお会いしましょう
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