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フモフモコラムttp://blog.livedoor.jp/vitaminw/

球界最高の頭脳・落合博満氏が斬る「中日VS巨人戦」が最高に深かった件。

カテゴリ:野球
2012年04月20日12:47

落合氏の言葉と半笑いが心に突き刺さる!

選手として頂点を極め、監督として頂点を極めた男・落合博満。球界最高の頭脳が、ヒマなので解説者としても頂点を極めることに決めたもようです。

19日にTBSで中継された「中日VS巨人戦」に解説者として登場した落合氏は、その言葉のチカラで視聴者を魅了。

球場で見るより落合の解説を聞きながらテレビで見たほうが楽しい、ていうか「野球より落合の解説が楽しい」とまで思わせる、至高の野球独演会を開催したのです。

落合氏の成功の裏には、オレ流と称された独自に練り上げた哲学だけでなく、それを他人に伝える言葉のチカラもあります。

単なるテレビ解説者的な説明力ではなく、言葉という武器で人を突き動かすチカラ。

「俺に能書きを垂れたければ、俺以上に打ってみろ」という殺し文句は、選手にぐうの音も出させない必殺の破壊力がありました。

ウダウダ理論を説くよりも早く、選手に疑問を差し挟ませる余地のない「やらせる」一言。

そのチカラは解説者としても健在。現役引退直後の「オレ流解説」時代以上にいや増しています。

当時は、正直腹の底で「自分がやるのとは違うだろ」「そんなに御託があるなら監督をやってみろ」「オレ流で組織がまとめられるものか」と反発もしたものですが、

もうぐうの音も出ません。8年も監督をやって、優勝4回を含む8度のAクラス。

中日が弱いチームだとは言いませんが、これだけの結果を出したのは名将・落合のチカラと認めざるを得ないでしょう。

そんな落合氏が、タダで、秘密主義を掲げず、野球を教えてくれるのです。試合は見逃しても落合の解説を聞き逃した人がいたら勿体ない。

できれば、落合氏が直接テレビでアドバイスを送った選手たちにも、その言葉が届いてほしい。そんな想いから、落合氏の言葉をまとめていきたいと思うのです。

特に、具体的にこうしたらいいよというアドバイスをもらった小笠原道大さんに届くことを祈りつつ…。

ということで、落合氏の見所は「吉見VS巨人打線」で、視聴者の見所は「落合氏VS現役選手」だった、19日のTBS「中日VS巨人戦」をチェックしていきましょう。



◆落合氏には、ぜひダルビッシュ戦を中心にメジャー解説もお願いしたい!

名古屋ドームでの巨人戦。落合氏が何を考えて野球をしてきたのかを探るには絶好のシチュエーション。中日先発・吉見というお膳立ても絶好。

日本でも最高クラスの精密なコントロールを誇る吉見なら、バッテリーの狙いもハッキリと見え、解説のし甲斐もあるというもの。

落合氏の横には完全試合達成者の槙原氏も座っていましたが、今日はちょっと黙っててもらいたいところ。

中継が始まった時点での状況は4-1で中日がリード。巨人の先発ゴンザレスは、第一打席でバットを強振して負傷するという体たらくで、わずか15球で降板。

巨人ベンチは難しい投手のやりくりを強いられる状況。このあたりも落合氏ならどう考えるか注目のポイント。

ですから、槙原氏はちょっと黙っててもらい、落合氏の言葉にだけ耳を傾けようではありませんか。


●オレ流解説その1:巨人の継投について

(3回表)
落合氏:「(すでに3人目を投入しているが)勝ちパターンにならなければ、使えるピッチャーはもう2人しか残ってないんですよね」

落合氏:「当然どこか野手のところにもピッチャーを入れることになるでしょうね」

(3回裏)
落合氏:「(福田に)打順が回ってきたときに、ランナーが1人いるのか2人いるのか、それとも先頭から始まるのか。

そのまま投げさせるか代打を送るのかというところで、相当ベンチは考えさせられます。こういう展開になれば」

(4回裏)
落合氏:「福田に限らずね、この8年間ドラゴンズが苦しんだのは相手が先発を引っ込めたあとなんですよ。ヨソのチームは2番手・3番手から点を取るの。

ドラゴンズの打線はエース級がきても、2線級…落ちるピッチャーがきても、同じようなゲーム展開にしてしまう。意外にここから点が入らないことが多い」

(5回表)
落合氏:「先頭の寺内が出れば簡単なんですよ。次の福田にはバントで送らせればいいから。それが出ないときにどうするのか。

(寺内が安打で出塁し)これでラクな展開になったと思います。その状況で簡単にストライクを取りにいった吉見、細心の注意を払わなければいけないケースでした」

落合氏:「(福田がバントを決めて)今のバントのケースもそうでしょ。2ストライクノーボールでしょ。ちょっと(吉見は)不用意だったかな」

(6回裏)
落合氏:「福田、このイニングまででしょうね」

(7回裏、巨人は4番手高木を投入)
落合氏:「槙原さん、自分がピッチングコーチなら、ここで高木いきます?寺内のところ(8番)に入れない?」

落合氏:「もう残ってるの(勝ちパターンの投手を除けば)マシソンだけでしょ。ということは、点を取っていけば1イニング2イニングでピッチャーのところに回りますよね。

負けてるゲームでも山口・西村を使うっていうならいいですよ。でも使いたくないのであれば、8番に入れないかな。(9番に入った高木は)1イニングだけってことでしょ」

落合氏:「同点になったとき、ピッチャー足りなくなりますよ。まだ(3時間半まで)1時間以上あるんですから」

落合氏:「さっきのゴンザレスじゃないですけど、怪我(する場合)もありますからね」


中日打線は2番手以降の投手に対してカサにかかって攻めることができないという、昨年までの実感を赤裸々に明かす落合氏。

中日打線がトドメを刺せないがゆえに、巨人にもまだチャンスがあると落合氏は指摘します。

そこで難しくなるのが投手起用。落合氏は中継開始時点で、巨人にまだチャンスがあると踏んでおり、投手の残り人数を計算し始めています。

完全に捨てゲームにはできないが、かと言って勝ちパターンの投手をつぎ込む状況にはまだなっていない。それが「あと2人しかいない」という指摘です。

追いかける展開であれば、投手に打席が回れば代打を送ることも考えなくてはいけない。しかし、先発が早く引っ込んだことで人数が足りない。

試合展開が早いことで3時間半の制限時間でも、延長戦をタップリやれそうだ。

先の展開を読みながら、6回の巨人3番手・福田の打席では、前の打者が安打で出塁したことに「これでバントすればよくなったな」と安堵し、

7回の巨人の投手交代には「延長戦まで考えれば、投手はできるだけ打順が回りにくい場所に入れるべき」と疑問符を投げかけたのです。

さすが1点差勝利を手練手管で引き寄せた男。二手先、三手先を常に見ています。長嶋→原路線の全力巨人野球とは一味違います。



●オレ流解説その2:巨人の先発起用について
落合氏:「原監督、この三連戦重要だと言っていましたよね。私の考えていたローテーションは違ったんです。内海だとばっかり思ってたの。

ゴンザレス、え、何でっていう疑問点だったの」

落合氏:「横浜戦が流れた時点で、杉内・内海・澤村っていう予想を立てたの。私の中に、昨日のホールトンと今日のゴンザレスはないんです。

監督がこの三連戦を重視するならね。ちょっと予想外でしたね」


昨年、中日の優勝の原動力となったのは、名古屋ドームでの圧倒的な勝率でした。巨人と中日が優勝候補であればこそ、今季初の名古屋ドーム決戦は重要でした。

苦手意識を払拭し、今季こそ互角の戦いに持ち込むなら、最初の試合で流れを作りたいところ。

ゆえに、巨人のローテーションは「杉内・内海・澤村」という総力体制で来るだろう、来るべきと踏んだのでしょう。

しかし、実際には巨人は「杉内・ホールトン・ゴンザレス」という成り行き選手起用。

ホールトンで落としたばかりか、ゴンザレスでサクッと負け越しを決めたあたりは、落合氏が監督なら「ラクだな」とほくそ笑むところ。

今シーズンの方向性を決める大事な試合に、巨人の先発陣でラクなほうの2人が入ってきたのですから。

144試合をトータルで考える印象の強い落合氏ですが、それは平板に成り行きですごすということではなく、どこでチカラを入れ、

どこでチカラを抜くかを、144試合の大きな流れで考えているという意味。チカラを入れるべきタイミングで入れなかった巨人は、はたしてどうなるのでしょうか。

ちなみに落合氏は、中日にとって同様の鬼門となる神宮でのヤクルト戦を重要な一戦と指摘しました。

一種独特のモノがある神宮球場をどう乗り切るか、その戦い方によって、ヤクルトの優勝戦線生き残りもかかるというのです。

「去年は終盤に神宮のヤクルト戦がなくて助かった」「最後ナゴヤだから勝てると思った」「もっと神宮が残っていたらギブアップだった」とまで、

鬼門・神宮を警戒する落合氏。これは来週以降の野球観戦に、また大きな楽しみが生まれましたね。


●オレ流解説その3:主軸の仕事について

(一死満塁のチャンスで倒れた中日の森野・山崎について)
落合氏:「(問題は)森野ですよ。相手投手はコントロール定まらない、ノースリーからふたつ待ちましたよね。

待つことが悪いとは言いませんが、何番打ってるの?と。打ってるの真ん中でしょう?」

落合氏:「だったら、ひとつ待つのはいいけど、ふたつ目は振りにいっていいのかなと」

落合氏:「急遽出てきた投手、ストライク取るのに苦労している。もっとストライクゾーン狭めていかないと。そこで山崎はボール球で三振でしょう」

(6回表、一死一塁での巨人・村田の打席について)
落合氏:「高さだけ注意したら外の出し入れでいいです。なまじインサイドに行って、左中間にホームラン打たれるほうがイヤでしょう」

落合氏:「村田はシュート待ってるんじゃないですか。ここでスライダーは待たないと思う。

私だったらインサイド待ちます、2ストライクまでは何があったってインサイド。外なんか待ちません。4番打ってるバッターなら」

落合氏:「(村田の打席で長野が盗塁を試みて失敗したことに)私には考えられません。どうしても走らせるなら(ひとり前の)左の阿部のところでしょう。

(右打者の村田のときは)キャッチャーの谷繁は一塁走者のスタートが見えるんだから」


落合氏は自身も4番だったがゆえに、4番の仕事がわかる男。4番にとって走者一塁は得点圏。まして満塁ともなれば大得点圏。

そこでの気のない凡打や、無駄な動きでチャンスを潰すことは大失着なのです。

試合後まで落合氏は6回の巨人の攻撃について、「あれ以降、走者も出ていない」と試合の流れを決めたシーンとして指摘。

このあたりは大打者・落合ならではの苦言と言えるでしょうか。「4番は打つ」という落合哲学と、「4番は打たない」という原哲学のぶつかり合いを感じずにはいられません。


●オレ流解説その4:打者が打つべきボールについて

(5回表、一死二塁で、ファーストライナーに倒れた巨人・坂本の打席)
落合氏:「今も振らしてないですよね。(外のボールに)ただ合わせてくれた。

振っていいボールと悪いボールの見極めが、去年から、各打者まだついていないかもしれないですね」

落合氏:「昨日あの高さのボールをあんだけ見事にホームラン打ってるわけですから、だったら初球のまっすぐに何故反応しないのか、バッターとしては理解に苦しむところです」

(5回裏、中日・山崎の打席のあとで)
落合氏:「すべてのバッターに考えてもらいたいのは、あなたたちはどのボールをどうやってヒットしてるの、どのボールに打ち取られてるのっていうこと。もっと研究しないと。

来たボール打っとけばいいんだ、では今の状況の野球つづきますよ。バッターの質が上がってこない。ボール球振ったら確率下がる。バッター陣はそこをもう一回考えないと」

(6回裏、中日・平田の凡打について)
落合氏:「そのボール引っ張っちゃダメだって。ノーストライクツーボールでしょ、そのボール振らなくてもいいんじゃないの。お客さんイライラしてくるのわかりますよ」


投高打低は統一球のせいではないと断言する落合氏。各打者には「打つべきボール」をわかっていないと厳しく指摘します。

再三に渡り、何故その高さのボールに手を出すのか、何を待って打席に立っているんだ、来た球を打つだけじゃダメだと繰り返す落合氏。

試合状況とカウントを考えること。今すべきことを見極めること。それは肉体的な才能に依らず、誰でもできること。突き詰めていきたいものですね。


↓ということで、各打者への落合氏による晒…個人レッスンが始まったぞ!

●オレ流解説その5:中日・和田の不振について
落合氏:「(去年の不振は)打撃改造もあるんですけど、あれだけストライクゾーン崩れたら苦労しますよ。ボール球振りすぎ」

落合氏:「私らのストライクゾーンと和田のストライクゾーンが違うのは確かなんです。内が好きなのか外が好きなのか、

高いのか低いのかということになればそれぞれ特徴(好み)はあるけれど、そりゃワンバウンド振っていたら打てない!打率落ちる!」

落合氏:「統一球でそんなに変わるもんじゃありません。先入観でしょうね」


●オレ流解説その6:巨人・長野の弱点について
落合氏:「もし私が投手だったら、こういう攻め方したら長野苦しむだろうなっていうのは、去年ならありました。

インサイドを突いて外にボールを投げれば引っ掛けてセカンドゴロが見える」

落合氏:「元来、ベースから離れて立つバッターはインサイド下手なんです」


●オレ流解説その7:巨人・阿部の料理法について
落合氏:「(ツーナッシングまでくれば)これで何でも放れるわけですから。そのまんま真ん中にフォーク落とすんだったら、落としてしまえばいいんです」

落合氏:「単純でいいんじゃないのかな。真ん中にフォーク」

落合氏:「そのボール打てないんだったら、使えばいいんですよ(ちなみにこの場面、阿部はフォークで三振)」


●オレ流解説その8:巨人・小笠原の不振について
落合氏:「これはね技術的なことであって、左ひざが折れるのが早すぎる。もう少し突っ立っといてもいいだろうな。これじゃ絶対に前に体重が乗ってこないもん」

落合氏:「後ろからのチカラがないんですよ。それで上体だけで一生懸命振ろうとするから、なおさらズレてくる」

落合氏:「左足のヒザがホームベース上に折れてくる。あれが気になってしょうがない。だから、バットが前に出て来ない」

落合氏:「最後のボール、打ちに行ったところを見れば、軸足の左がどれだけ折れて天上を向いているかわかりますよ。

本人は気づいていないと思う。練習で誰か手助けしてやらないと」


特に注目したいのは、今年もどうにもならない感じの小笠原へのアドバイス。破壊力で相手をねじ伏せるつもりの巨人打線なら、

小笠原を2番に起用したいとも語る落合氏。この試合では2番に谷を起用していましたが、谷については「イヤなバッター」「バントをさせるのは勿体ない」と高評価。

巨人打線の組み方に疑義を呈します。

理想的には小笠原の爆発を期待しつつ、1番に足のない坂本を起用する以上、2番にバントが増えることを計算。

小笠原を立てつつ、「どうせバントするなら打ててないヤツにやらせろ」という現実路線も提唱する。

このあたりが選手個々の力量を超えた采配の妙というヤツでしょう。どこにどの選手を入れるか、どういう仕事を与えるか、それは監督が決めることなのですから。


↓ちなみに落合氏は横浜DeNAベイスターズについても、ズバリと指摘してくれた!

●オレ流解説その9:優勝争いについて

落合氏:「(巨人、中日に加え)そこにヤクルト、阪神、広島。去年の9月の前半くらいまで争った5球団の…三つ巴?こういうとき何て言うんですかね」

落合氏:「混戦になると思ってます」


ざわ…ざわざわ…!

DeNAはノーカン…!ずばり夢も希望もないノーカン…!

勝負をしてない…アウトオブ眼中の清々しいノーカン…!


このように大いに語りまくった落合氏。異論反論は大いにあるでしょう。しかし、これだけの実績がある落合氏の言葉は、一回受け入れ一回噛み締めてもいいはず。

僕も、とりあえず正しいものとして一旦受け入れようと思うのです。何せ、選手・監督いずれにおいても落合氏に及ぶものなどないのですから。

まぁ、子どもさえ作れば「父親・落合」には勝てるような気もしないではありませんが…。


落合の言葉を一旦信じよう!信じた結果、DeNAは今季早くも終戦!
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