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情熱電波!テレビ新広島 達川光男のものがちがいます 

2011.9.26(月)最強の右バッター 怪物・落合博満の思い出  ttp://wwwz.tss-tv.co.jp/tatsukawa_blog/20110926_1



明日から中日、巨人と6連戦。 勝ち越せば、まだ、チャンスはあるんよ。
 
だから、カープナインには、今年のペナントレース、 この6連戦で終わりという気で戦って欲しい。
 
確かに、中日は今年、最高のコンディションよね。
 
その中日と当たるわけだけど・・・、 臆することはない。
 
まず、相手が調子がいいと思ったらいかんよ。
 
自分たちに置き換えたら分かると思う。

凄い戦いをした後のチームは、移動したりして、1日置くと、ガラッと変わる事はよくあるんよ。
 
勿論、悪く変わるんよね。
 
上がれば下がる。 いいチームは、必ず、悪くなる・・・・。  
 
ここは、そんなプラス思考で、自分の力を信じてやるしかない。
 
明日は、ワシも放送席から、じっくり見させてもらうよ。

さて、今日は移動日。 セリーグの試合も無いもんで、少し思い出話なんかしようかね。
 
 
前に、ブログでちょっと話したよね。
 
中日・落合監督の話。 
 
「 時期がきたら、話しましょう 」なんて、思わせぶりな事を言ってましたが・・・、
 
明日からの3連戦を前に、話しましょうか?
 
 
皆さんは、「 落合監督 」はよくご存知でしょうから、今日は「落合選手」の話をしようかね。
 
落合選手は、ロッテで大活躍。 その後、トレードで中日にやって来た。
 
その日以来、 ワシは、落合さんと一番近い所で、この人と戦っていたんよ。
 
 
落合さんと、初めて対戦した時の印象は、今でもハッキリ憶えとるよ。
 
さすがに、パリーグで三冠王を獲っただけの事はあったよね。
 
まず、ビックリしたのは、打った時の足元の土の掘れ具合。
 
踏み込んだ足が、ビックリするくらい、土をえぐっているんよ。
 
物凄く深く掘れてるわけ・・・。 
 
それだけ、踏み込みが、力強いという事なんじゃが・・・、こんな凄いのは、見た事ない。
 
 
それ以来、ワシは、キャッチャーボックスから、落合さんが、打席に入る度に、じーっと、観察した。
 
するとよね・・・。  あんなに掘れてるのに、足は意外と小さいのよ。
 
それとは逆に、ビックリするくらい大きいのが、「 太もも 」と「 ふくらはぎ 」
 
凄かった・・・。
 
今みたいに、ユニフォームがダブダブの時代じゃなかったから、ユニフォームの上からもよく分かったんよ。
 
ともかく、凄まじい筋肉じゃったね。 あんな見事な「 太もも 」と「 ふくらはぎ 」は見た事なかった。
 
あの下半身から、逆方向にも、大きな当りが打てたんよ。
 
 
天才と言われた落合さんじゃが、あの下半身は、血の滲むようなトレーニングで鍛え上げたものじゃった。
 
プロ野球選手なら、そんな事、見れば分かる。

あの筋肉を見ただけで、落合博満という選手が分かる気がした。
 
この人は、唯の天才じゃない。
 
天才に、「 唯の・・・ 」 というのも変じゃけど・・・、 プロの世界には、才能のある奴は沢山おるんよ。
 
 
ワシは、 この時、 最強の敵が現れた事を直感した。
 
そして、それが間違いじゃなかった事に、ワシらは直ぐに気付かされる事になる。
 
 
 
ワシが現役時代に対戦したバッターの中で、「 最強の選手は誰か? 」と聞かれたら・・・、
 
左打者なら、バース。 右打者なら、落合博満 と即答できる。
 
それほど、この二人は抜きん出ていたんよ。
 
そして、この二人には共通点があった。
 
選球眼が抜群なんよね。
 
ボールがベースから、少しでも外れたら、絶対に振らなかったもん。
 
討ち取るのは四苦八苦よね。
 
外れたボールには、手を出さん。  だから、ベースの上にボールを通すしかないわけよ。
 
使えるのは、高さだけになるから、高低差で勝負するしかなくなるわけよ。
 
 
また、選球眼のいい選手に共通して、ボールをキャッチャーぎりぎりまで、待って打つ。
 
ボールを呼び込んで、打てるわけよ。
 
ワシなんか、ミットを叩かれるんじゃないかと、何度もヒヤヒヤしたもんよ。
 
間違って、あんな強烈なスイングで、叩かれてみんさい。  ミットの上からでも、指が折れるよね。
 
 
まぁ、凄い選手がやって来たもんよ。 
 
じゃが、 ワシは、落合さんを抑えようと、必死になった。
 
この人を、抑えん事にはチームの勝利は無いわけだから・・・・、
 
ワシは、スコアラー陣の助けも借りて、ありとあらゆるデータを集めて、落合さんを研究した。
 
ともかく、弱点を見つけたかった。 必ず、弱い所があるはずなんよ。
 
 
そして、出した結論。
 
落合さんに、弱点は無かった・・・。
 
インサイドに弱いと言われていたけど、そんな事はないんよね。 狙って打ったら確実に打たれた。
 
ワシは、ありとあらゆる手を使って、この怪物と戦わなければならんかったんよ。
 
 
ワシと落合さんの対決・・・、 いや、ワシらバッテリーと 落合さんの対決で忘れられない試合がある。
 
 
ある年の中日戦。 初回、1アウト、1塁・2塁で、打席に落合さんを迎えたんよ。
 
いきなりのピンチ。 そこで、ワシは、その日のミーティングを思い出した。
 
その日は、3連戦の初戦。 試合前のミーティングで、スコアラーから報告があるんよ。
 
それによると、落合さんは、そこまでの2カード。 つまり、6試合。
 
その6試合での「 全打席で、初球に1回も手を出していない 」と言うのよね。
 
落合さんは、初球を打ってこない。
 
ピンチではあったが、ワシは、初球からストライクを取りにいこうと決めた。
 
普通なら、危なすぎる配球じゃったが、30打席近く、初球に手を出していない。
 
「 今度も大丈夫じゃろう 」 という思いが、ワシの中にあった。
 
いや、それ以上に、ワシは、この怪物から、どうしても、ストライクが1つ欲しかったんよ。
 
「 危険な配球 」 ワシの頭に、ちらっと、その言葉がよぎらなかったわけじゃない。
 
じゃが、「 落合博満から、ストライクを取れる 」という期待が、ワシの心のアラームを、いつの間にか消していた。
 
 
そして、ワシは、初球にインサイドのストレートをストライクゾーンに要求したんよ。
 
ピッチャーは、要求通りのボールをインサイドに投げ込んだ。
 
 
 
そして、次の瞬間。
 
振られるはずの無いバットは、風を切り・・・、
 
打たれるはずの無いボールは、外野スタンドに消えていた。
 
 
3ランホームラン。 
 
落合さんが、ホームベースを踏んだ時・・・、 ワシらバッテリーは、初回に3点を失っていた。
 
 
試合が終わって、宿舎に帰ると、スコアラーが済まなそうな顔で飛んできた。
 
「 達川さん。 すいません 」
 
言葉の一語、一語から、気持ちが伝わってくる。 スコアラーも無念じゃったのが、よく分かった。
 
「 謝らんでええよ。 いつもスコアラーのお陰で、勝ててるんじゃから・・・。 明日、また、頑張ろう 」
 
ワシは、そう言って、スコアラーを帰した。
 
 
じゃが、ワシには、疑問が残ったんよ。 そりゃそうじゃろう。 何で、初球なんか?
 
今の、スコアラーの表情からも、納得いってないのが良く分かる。 
 
偶然なのか・・・?  何か理由があるのか・・・?   答えが、分からんのよ・・・・。
 
 
これは、ワシの心にずっと引っかかっていた。
 
そして、この年のオールスターゲーム。
 
ワシは、我慢しきれず、答えを知りたくて・・・、 ついに、落合さんに聞いてみたんよ。
 
「 なんで初球を打ったんですか? 」
 
 
 
この時の、落合さんの答えが、まぁ、何と言うか・・・、 落合さんらしかった・・・。
 
 
「 前の2カードのチームに比べて、カープは、ピッチャーがいいわけよ。
  
特に、みんな、コントロールがいい。 だから、初球から集中できた。
 
いいピッチャーと対戦するわけだから、さすがに俺でも・・・、
 
そりゃ、追い込まれるより、早いカウントで勝負したほうが、打てるに決まってるじゃん 」
 
 
そうなんよ。 全てが、計算ずくなんよ。 
 
コントロールがいいから、集中できた・・・・。
 
つまりは、コントロールがいいから、とんでもない荒れ球は無いと計算してた。
 
頭の方に来たり・・・、 そんな危険なボールは、まず来ない。
 
だから、狙いを絞って打ちにいけた・・・。   つまりは、初球から、集中できた。
 
だから、初球を振りにいけた・・・。  初球から、打ちにいけたんよ。
 
 
それが、落合さんの答えじゃった。
 
それから、落合さんらしかったのが・・・・、
 
 
お前の所のピッチャーがいいから・・・と持ち上げといて、さすがの俺でもと来るわけ、
 
人の事を褒めといて、相手に自分も認めさせる。
 
落合さんだから、憎めない。 あの口ぶりは忘れられないよね。
 
 
さて、今日は、この辺にしましょうか?
 
そう、そう、皆さんに、一つ問題です。
 
落合さんが、カープで一番苦手だったピッチャーは誰でしょうか?
 
ヒント。 「 コントロールがいいから、集中できた 」と、落合さんは言ってたよね?
 
明日までに、考えてください。 答えは、明日、ここで発表します。
 
 
落合さんは、負けない監督。勝てる監督と言われてきた。
 
明日は、ワシが現役時代、その原点に触れた・・・・。
 
そんな話をしましょう。 それでは今日は、この辺で・・・。 
 
明日、また、ここでお会いしましょう
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